料亭のおもてなし

2018/05/18

料亭のおもてなしのイメージ画像

 料亭で供される会席料理、その流れにおもてなしを考えましょう。移ろう季節に替る食材、それぞれが、はしり、旬、名残りで持ち味を変えます。季の材を組合せ、山や谷をつくり、宴席の進行に合せ料理を供します。店ごと、多少は違いますが前菜、椀、造り、焼物、口替り、酢の物、煮物、飯、水菓子と云う進行が金田中の基本です。献立を立て始めの頃は基本に沿って料理を繋げました。やがて何かを狙ってわざと崩したり、新店の立上げには新しいスタイルも考えました。すると伝わる会席の心配りが見えてきました。
 宴席は予定通りに始まるとは限りません。前菜は置いても味の変らぬ常温のものが常道です。続く椀は熱々の液体、造りは冷たい刺身。始まりの三品は、常温、熱々、冷たくと温度を変え、状態は固体、液体、生ものと鮮やかに様子を変えます。
 宴席の趣旨は様々ですが仕事で手合わせする会社どおし、呼ぶ側を亭主、呼ばれる側が客となるのが普遍の宴席とします。昼の仕事では、互いに妥協せず、唯、譲れない間の部分も出てくるはず。接待の宴席は、その間を埋める役割りを担います。亭主と客の双方が多少の緊張で迎える宴席の始まり。三品が鮮やかに変わる中、小腹も足りてお酒も入る頃合いに芸者衆の余興を挟みます。緊張を料理と酒でほぐし、綺麗を見せます。ここで座は和み互いに腹を割る環境が整うのです。
 先回、芸者を座の進行役と申しましたが正確には空気の進行役です。仕事の話の最中は邪魔をせず、硬くなり過ぎれば和らげます。各部屋を担当する仲居は客の要望と店の進行を繋ぐ役、館に同時進行する宴席を把握するのが女将です。接待と聞くと悪い事と思われる作今、接待とおもてなしは同義の語のように思われます。接して遇すると持って成す、は繋がりませんか。東をどりの演舞場は料亭と、先回に申しました。
 一人歩きを始めた、おもてなし、の語。私の好きな解釈は、表裏なくおもてなし。そんな想いで東をどりに皆さまをお迎えしたく存じています。
(東京新橋組合 頭取 岡副 真吾-料亭 金田中 主人)