第17回ヘンデル・フェスティバル・ジャパン ヘンデル:オラトリオ「ヨシュア」全3幕 見よ、勇者は還る!

1745年~46年頃のイギリスはジャコバイト党の反乱勃発により極めて政情が不安定となっていた。この時期、ヘンデルは「軍国的」「愛国的」色彩の濃いオラトリオを立て続けに作曲している。1746年作曲の《ユダス・マカベウス》はその代表作であるが、続く1747年作曲の《ヨシュア》もそのひとつ。
今日、残念なことに、《ヨシュア》は有名な《ユダス・マカベウス》の陰にすっかり隠れてしまっている。しかし、《ユダス・マカベウス》とは異なり、《ヨシュア》には若い恋人同士の艶やかな愛の場面や、独創性が際立つ「2つの奇蹟の名場面」がある。アクサの「嗚呼、私にユバルの竪琴があれば Oh! had I Jubal’s lyre」も初演当時から今日まで人気のアリアだ。加えて、表彰式ですっかりお馴染みの「見よ、勇者は還る!See, the conqu’ring hero comes!」もこの《ヨシュア》の中の合唱曲なのである。魅力的な独唱と二重唱、壮麗な合唱、大規模で色彩豊かな管弦楽……。劇場娯楽としての魅力満載の《ヨシュア》は正真正銘「知られざる傑作」のひとつである。

あらすじ
「出エジプト」ののち、モーセに代わって新しい指導者となったヨシュアが約束の地カナンへとイスラエルの民を導く。しかし、そこには数々の先住部族との戦が待ち受けている。
◆第1幕 ─ヨルダン川を渡ったイスラエルの民は神に感謝するが、エリコの城が行く手を阻む。天使が舞い降り、エリコ陥落を預言する。一方、イスラエルの若き指揮官オトニエルは愛するアクサと幸福の時を過ごすが、それも束の間、戦闘開始を告げるトランペットが鳴り響く。

◆ 第2幕 ─イスラエル軍が契約の箱を先頭にエリコの城の周りを7回巡ると、神の預言どおり、エリコの城門が崩落し、敵は全滅する。続いて、ギブオンの町に進撃する。ヨシュアが神に祈ると太陽も月も静止する奇蹟が起き、イスラエルが勝利する。

◆ 第3幕 ─ イスラエルは次いでデビルの町を攻撃する。イスラエルの族長カレブはこの町を滅ぼした者に娘アクサを娶らせることを約束する。するとオトニエルが見事にデビルを攻略する。全イスラエルはオトニエルの凱旋を祝う。オトニエルはアクサと結ばれ、幕となる。

最大の聴きどころ 2つの奇蹟の名場面
① 第2幕、第1場:イスラエル軍が城を巡ると城門が崩落する=ヨシュアのソロと合唱「神に栄光あれ! Glory to God!」。トランペットとホルンを伴いヨシュアが力強いソロを歌うと、軍勢が合唱で勇壮に呼応する。全イスラエルの力強いリーダーたるヨシュアの英雄的性格が余すところなく描かれる。この曲をロンドンで聴いたハイドンがいたく感動したというのも頷けよう。

② 第2幕、終曲:ヨシュアの祈りが届き、太陽も月も静止する=ヨシュアのソロと合唱「ああ汝、輝ける球体、偉大なる昼の支配者よO thou bright orb, great ruler of the day」。太陽と月が天高く静止する様を描くアイデアが独創的。冒頭、弦が低い1点ニ音から動き出し、「2点イ音」まで到達すると、そこから24小節間にわたって「2点イ音」が保持される(楽器はヴァイオリンーオーボエ ートランペットと受け継がれる)。

公演スケジュール

01月25日(土) 開演15:30(開場15:00)

出演者

独唱(T): 辻裕久(ヨシュア(イスラエルの指導者))、前田ヒロミツ(天使) / 独唱(S): 広瀬奈緒(アクサ(カレブの娘、オトニエルの恋人)) / 独唱(Ms): 波多野睦美(オトニエル(若き指揮官)) / 独唱(B): 牧野正人(カレブ(族長)) / 管弦楽:キャノンズ・コンサート室内管弦楽団(古楽)〈バロック・ヴァイオリン〉: 川久保洋子(コンサート・マスター)、天野寿彦、池田梨枝子、小玉安奈、斎藤佳代、高岸卓人、高橋真二、高橋奈緒 / 〈バロック・ヴィオラ〉: 伴野剛、中島由布良 / 〈バロック・チェロ〉: 懸田貴嗣、髙橋麻理子 / 〈ヴィオローネ〉: 諸岡典経 / 〈フラウト・トラヴェルソ〉: 岩井春菜、菊池香苗 / 〈バロック・オーボエ〉: 荒井豪、佐治みのり / 〈バロック・ファゴット〉: 岡本正之 / 〈ナチュラル・ホルン〉: 下田太郎、齋藤善彦 / 〈ナチュラル・トランペット〉: 内藤知裕、三澤徹 / 〈バロック・ティンパニ〉: 村本寛太郎 / 〈チェンバロ〉: 平野智美 / 〈リュート〉: 高本一郎 / 合唱:キャノンズ・コンサート室内合唱団〈ソプラノ〉: 小野綾子、千石史子、本宮廉子、山崎千恵、吉澤有香、渡邉公実子 / 〈アルト〉: 奥野恵子、加形裕子、田中栄吉、堀江真鯉男、宮﨑恵美子、横町あゆみ / 〈テノール〉: 藍原範道、遠藤貴之、福島康晴、前田ヒロミツ / 〈バス〉: 小家一彦、石井賢、井手守、小藤洋平、酒井崇

スタッフ
チケット料金

S席:7,800円
A席:6,300円
学生:3,000円(当日のみ)
(全席指定・税込)

チケット等取扱

Confetti

日本でのチケット購入について

会場
浜離宮朝日ホール
公式ウェブサイト
http://handel-f-j.org/concert_top.html
備考

※演奏会形式
※原語(英語)上演
※字幕付き

住所
〒104-8011 東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞東京本社 新館2階
お問い合わせ
03-5541-8710

https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

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